夢日記1
ぽかぽかとすると思っていたら、部屋が風呂になっていた。
窓枠の下の部分、立った時の腰の位置より高いところまで、白濁色の湯が部屋を満たしていたのだった。
私は入り口のドアノブに器用に腕をひっかけて、そのお湯のなかにぷかぷかと浮いていた。実際、いいお湯だった。
ドアから窓の方を見やると、黒い無骨な木の板が白いお湯からぬっと顔を出している。なんだろうと思ってぼんやり見ていて、私はしまったと思った。
あれギターじゃん! しかもエレキ!
水に弱い機械仕掛の機構をその体内に持つエレキギターは、ヘッドの部分のみを水上に出し、最後の力を振り絞って私に助けを求めていたのだった。しかし一度携帯をトイレに落とした経験を持つ私は、すぐに冷静になった。
まあ、電源とかつなぐ前にしっかり乾かせば大丈夫っしょ。
大丈夫なわけはないのである。しかし一度大丈夫だと思ったらその決定にどこまでも乗っかっていくのが私なのだ。
冷静に考えれば本棚やクローゼットの中の服もタダ事では済まない事態であったはずなのに、なぜだかギターだけを心配していた。
まあ、夢だからね。
あれが現実ならパソコンも携帯も全部だめになっていたと思う。
それにしても、いいお湯だった。
目が覚めて、夢での湯浴みで肌がつるつるになっているかと思ったが、
そこはしっかり、いつも通り乾燥していた。けちんぼ。