夢日記 目玉焼きカレー
その日の給食は目玉焼きカレーだった。
それなのにご飯の上にのっているのは目玉焼きだけ。
よく見ると目玉焼きの黄身の部分が少し大きく、色も黄色ではなくどぎつい茶色をしている。
黄身を割る感覚でその部分を割るとカレールーが飛び出す仕組みになっているらしかった。趣味が悪すぎる。
白身の部分は、普通の目玉焼きと変わらないようだった。
色味の気持ち悪い目玉焼きを見ただけで食欲はどこかに行ってしまって、
そこで冷静にこれは夢に違いないと思う。
夢の中で夢であることを自覚して以降は、例えば自分の好きに空を飛んでみたり、念動力で物を動かしてみたりなんてことができる人がいるらしいけど、ぼくは夢の中でそれが夢であることに気がついたとしても、夢のストーリーを展開を無視して好き勝手に行動できたためしはない。
机の上のカレーを食べるでもなく眺めていると、
周りの人達もやはりこの気味の悪いカレーに食欲が湧かないらしく、
次々とスプーンをおぼんのうえに置いていった。
それから次々にぼくのもとへやってきて、顔を青くしながら、
食べられません、すいませんといった旨の言葉を口にして足早に去って行く。
自分は、何か給食に関して権限を持った偉い人だったのかもしれない。
そして忍たま乱太郎の食堂のおばちゃんよろしく、お残しは許さない主義だったのかもしれない。
どんな方法でお残しを許していなかったのかは定かではないけれど、意を決して謝りに来る人達の顔を見ていると、尋常なことではなかったのだろうと察しがつく。
ぼくは記憶喪失を機に全く違った人生を歩んだ結果プロ野球選手になって、ここ一番のバッターボックスに立った瞬間、だめだめだった記憶喪失以前の人格、記憶が戻ってくるみたいな、つまり恐怖政治によってお残しを許さない給食番長の人格ではないぼくだったので、
こんな趣味の悪いもの食べられなくて当然だと思ったし、謝ってきた人は全員鷹揚な態度で許した。
それを目の端に涙を溜めながら喜ぶ人もいて、なんなんだこの夢はと思ったところで目が覚めた。