怒れメロス


配属初日はあらゆる社内システムのパスワードを忘れたぼくが、ひたすらパスの再発行をするだけで終わりました。

そんななんの生産性もない活動に従事していたぼくは、部長と課長に連れられて今までお酒を飲んでいたのでした。こんなことでいいのか社会人。リターンが大きすぎる。


それなりにお酒を飲んだので、なんの面白みもなく酔っ払っています。

帰りの電車で課長の息子さんの話を聞いていたからか、このふわふわした状況で思い出すのは自分の中学校の頃のことです。

今でもそういう節がありますが、厨二病のピーク、つまりリアル中学校2年生だった頃、ぼくはポエマーでした。ただのポエマーなら世間的にもギリギリ許容範囲だと思うのですが、好きな女の子にポエミーになる完全にアウトな部類のポエマーだったのです。全然今はそういう節ありませんでした。お詫びして訂正します。


そんなわけで、厨二病全開の激痛ポエムを意中の女の子に詠んだりしていたわけですが、当たり前のようにまじキモがられてました。女の子が男より遥かに精神年齢高いということもあるでしょうし、女性の方が男より遥かにまともな感性を備えていることもそうした結果を生むに至った大きな要因であると、今ならはっきりわかります。

当時のぼくとしても、そうした結果になることはやんわり分かっていて、それでも重い病が故にポエマることを避けられなかったというような状況だったので、そのキモがる女の子にどうこういうつもりもさらさら無かったんですが、

1人だけそうではない人間がいたのです。


ポエマーぼくに対しキモいと至極真っ当な評価を下す女の子に対して、謝れとまで喚き散らかす女の子がいたのです。

その過激派女子は、ポエマー批判派女子と仲が良く、ぼくの知る女社会の常識に照らし合わせれば、わざわざキモがられている男を庇うことは、自分の立場を危うくする以上の何ものでもなく、到底理解に苦しむ行動でありました。


あれから10年が経って、ぼくはあの過激派女子のような行動を、未だにとることができないでいます。

自分の信念に基づいて、自らの立場を顧みずに怒ることができる人間がどれほどいましょう。

必ずしもそれはいいことではないかもしれません。それは大人になればこそますます感じるところではあります。


それでも、自分の大切だと思う何かのために、
怒ることのできる人間になりたいと、ぼくは思うのです。


そんな週明けです。