人を見る目は天下に比類ない



やや神経質な性格と、そこから来る細かな仕事ぶりとが手伝って、ぼくは今まで綺麗好きだと思われることが大半であった。

から、人を家に呼んだことはない。

なんでって、ぼくの家はお世話にも綺麗とは言えないところだからだ。我ながらこれは自分のイメージを崩すなと思うくらいだ。

別に綺麗好きでないわけではないのだけれど、自分しかいない空間で、自分が許せるのであれば、なんでもいいやと思ってしまうのだ。

自分以外の人も使う学校の掃除やなんかは結構好きだったし、真面目に取り組んでいたから、人を家に呼ぶようになれば家も片付くのかもしれない。

そんなこんなで今まで綺麗好きっぽいというキャラクターで偽りの人生を歩んできたのだけれど、今日上司との面談で開口一番、部屋汚いっしょ? と言われた。驚愕した。
誤魔化す理由もないので、は、はいと答えておいたが、そう推論した根拠はこわすぎて聞けなかった。

見る人が見れば、その人間の人となりなんてものはすぐに看破できてしまうのである。

偽りでなく、まことの綺麗好きになるべく、ぼくは明日から生まれ変わるのである。こんなことを言っているうちは、当分は無理そうだけれど。