できないこと


今まで体重が足りずに献血を断られていたぼくは、今回、以前はなかった余分な脂肪およそ7キロを連れて意気揚々と献血ルームへと向かったのであった。

400ccも血液を抜かれて、そのあと仕事は大丈夫だろうかなんて心配していたけど、それは無用だった。

ぼくはまた献血を断られた。無駄に肥やした脂肪の量が足りなかったのではない。
今はもう何ともないんだけど、生まれて間もない頃、変な名前の難病にかかっていたことがある。

だから献血はできないらしい。
お医者さんが他にもたくさん病名の載った図鑑のようなものを見せてくれて、そんな風に説明を受けた。

何にもしていないのに、献血をした人へのお礼の品のようなものだけを持たされて、部屋をあとにした。


注射は嫌いだし、痛いのも嫌だし、
少し貧血気味ではあるから、もともと献血なんかしない方がいいのはそうなんだけど、

今後の人生でも、もうできないのだと宣告されると、どうしても血を献じてやりたくもなる。

献血のできるできないなんかきっと自分を左右しはしないのだから、気にする必要はないとは思えど、自分の努力とかそういうものでどうにもならないことがあることに、どうしても悔しいような気持ちにならないではいられないのだった。