二人暮らしに終止符を3

 
 
起きた。
奴と戦う時がきた。
 
袋で完全包囲するために、薬箱の周りの物も片付けた。
もしかしてバッタは既に死んでいるのではないかと期待したが、物をどかす時に少し動いてたのでその希望は潰えた。
 
 
改めてみるとまじででかい。人差し指大という例えは全く大げさではない。
対峙するつもりで向き合えば向き合うほど、こちらの戦意が削られていく。
 
 
袋なんかまどろっこしいもの使わずに、直接触れるのがいやなら手袋かなんかして、ぱっととって部屋からぽいとすればいいじゃないかという人があろう。
 
確かにそうだ。
 
でもね。
おれが恐れているのは、
つかんだ時にバッタが暴れることなんですよ。
多分何かを手にはめて、掴むとこまではぎりぎりいける。
でもやつがそれで暴れたら、おれはそのまま掴んでいられる自信がない。
もっと言えば直接掴んだら、戦隊ものの悪者よろしくやつが巨大化のひとつでもするんじゃないかと思ってびびってる。
 
 
昔から能書きばかりを垂れて、
なかなか実行に移さないのがおれだった。
幼き頃、自転車に乗る練習をする時も、進み方やハンドルの切り方を声高に説明しはするものの、なかなかサドルに座ろうとしなかったと母も言っていた。
 
 
そろそろそこから卒業せねばならん。
 
やると決めたらやらねば。
 
 
 
よし…捕まえるぞ…