炒飯



炊き上がってから10分蒸らした後、
炊飯器を開ける。白い米がしとやかに佇んでいて、ほんのり炊きたてのいい匂いがする。
釜に面している部分が焦げてしまわないように、しゃもじをさくっとさして、お米を切るように混ぜる。

ひと混ぜするごとに湯気と、一段と強い匂いが立ち上ってくる。眼鏡が曇って何も見えなくなる。鼻はしあわせだ。

今日は今から炒飯を作るのだ。


かき混ぜた後、炊飯器の蓋を閉めて、今度は冷蔵庫を開ける。卵を二つ取り出して、お茶碗にあけていく。

卵を割るときに、何かの角にぶつける人が多いが、黄身が潰れてしまうことがあるので、ぼくは平らな面に殻をぶつけてヒビを入れる。

卵を割った後は、殻を捨てて軽く手を水で洗う。

平らな面で割るのも、割った後は手を洗えも、両方以前働いていた飲食店で教わったのが、そのまま習慣になってしまった。

卵の殻は除菌等がされているわけではなく、そんなにきれいなものではないらしいので、殻触った手を洗う方にかんしては、実践してもいいかもしれない。


オレンジ色の、ぷるんとした黄身に箸をさして、かき混ぜていく。
初めは黄身全体が崩れるように、次は黄色の濃いところと薄いところの差がなくなるように、混ぜていく。
ある程度混ざったら、白身をはさんで持ち上げて、重力に任せて切っていく。
そうして、また混ぜる。
白身の存在感が、自分の適当な基準で希薄になってきたら、いったん置いておく。


フライパンを取り出す。
毎度毎度、ガスコンロがいいなあと思いながら、それをIHの上に置く。
火力、と言っていいのかわからないけれど、はMAXに。

炒飯は温度が命なのだ。
生半可では美味しくならない。

フライパンに熱が宿ってきたら、油をしく。

テフロン加工なので、フライパンの金属に油が馴染んだりしないのが少しつまらない。フライパンを傾けて、一応全体に油を滑らせる。

油の量は、少し多いかもしれないと思うくらいが丁度いい。
もっともそれは、米をパラパラにしたいならの話で、ダイエット中とかであれば茶碗2杯分のお米なら大さじ1杯くらいでいいとは思う。

パラパラにしたい人は、米全体を油でうっすらコーティングするような感覚で、入れる油の量を決めるといい。


油をしいて、フライパンに十分熱が通ったら、卵を投入する。

油があるので、空気をふくんだようにぶわっと膨らんで卵に熱が入る。

あまり細かく観察している暇はない。卵を入れていた茶碗に、素早く一杯分の米をよそう。フライパンに入れる。もう一度よそう。フライパンにいれる。

ここで急がないと、卵が固まりすぎてしまう。

ごはんを入れた後は、まずごはんをフライパン上で素早くならし、その後すぐにフライパンを返して卵の面を上にする。

フライ返しでも、おたまでもなんでもいいが、固まりかけた卵を切るように叩いて、ごはんに馴染ませていく。

あとはひたすらその作業を繰り返す。
ごはん全体が黄色くなる頃合か、その少し前に、炒飯にいれたい具材を投入する。

もちろん、火力はずっと最大のまま。
卵をいれてごはん全体が黄色くなるまでにおそらく2分程度しかかからない。

ごはんをいれて、フライパンを返すまでにちんたらしていると、卵が固まりきってしまって、ごはんになじまなくなってしまう。

かといって、ごはんの投入が早すぎると卵のかたまりができないので、卵の存在感が消えてしまう。


味付けは、塩胡椒、醤油、味覇等でやる。味覇をいれると、美味しくはなるが、味覇の味になるので面白みには欠ける。

米全体に味が行き渡ったら、さっさと器に移してしまっていい。

熱いうちに食べる炒飯が一番美味しいのだ。



いただきます!

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