はるまき
よく行く定食屋さんのようなところがあって、
珍しくそこのおばちゃんがサービスで一品つけてくれたのに、
ぼくはあんまりお腹が空いてなかったから、残してしまった。
どうしても食べきれなかった。
悪いことをした。
でも同時に、
ただでもらったものだから、
金銭的価値を持たないものだから、
自分の財布にダメージはないから、そんな理由で
「まあいっか」と思っている自分がいる。
その定食屋さんは食べ終わった食器類は所定の位置に自分で下げる形式なのだけど、
下がってきた食器の中のほとんど手の付けられていない春巻きをみて、おばちゃんは、あんまりお腹空いてなかったかなと小さく言って、困ったように笑った。